「意識高い系」が意識すべき「意識」とは?
コンピュータが人間にチェスで勝ったと思ったら、将棋でも勝てるようになってきて、近い将来人間を超える知性を持つようになると言われています。
また、脳科学の進歩は近年凄いことになっています。脳は丸裸にされ、人間の考えや感情はまるで機械のようにいずれ説明できるようになりそうです。
『フューチャー・オブ・マインド』はそんな脳の探究と人工知能のエンジニアリングの最先端を紹介してくれる一冊です。
私たちの「マインド」を理解するためキーワードは「意識」。
意識とは、目標(配偶者や食物や住みかを見つけるなど)をなし遂げるために、種々の(温度、空間、時間、それに他者との関係にかんする)パラメータで多数のフィードバックループを用いて、世界のモデルを構築するプロセスのことである。
意識とは何かという定義が、実にすっきりしています。意識のレベル定義もしています。そのため、(必ずしも気持ちいいものではないが・・・)ゴキブリやコンピュータと私たちの脳を比べ、違いが分かります。
レベル0: 植物等は、温度などの限られたパラメータをもって世界を認識する。
レベル1: 昆虫や爬虫類などは移動できるので、さらに空間の変化も認識する。
レベル2: 猫など高度な動物になると、他の猫等との社会的関係の認識もとらえる。
レベル3: 人間は、「世界における自分の居場所のモデルを構築してから、大まかな予測をして未来に向けてのシミュレートをする」ように、演繹的な反応ができる。
自己認識のレベルが高く、未来シミュレーションとその対応力が高いことを「意識が高い」と呼びます。いわゆる「意識高い系」はこの定義に当てはめると、低くなってしまいますね(笑)
その脳を理解する上で、大企業と同様のメカニズムではないかと紹介されていたのは、直感的に理解しやすいものです。大企業と似ている点は、ひとつの大きな官僚的機構といくつもの権限系統に大量の情報が流れていることです。それらの中でも重要な情報以外は中央と関係なく判断され、難しい判断や重要な情報はCEOのいる本部に委ねられます。脳細胞が一つ一つ同じなのにも関わらず、部位によって違う役割を果たしていることも似てますね。
人工知能や脳科学は科学技術の進化を引っ張ることは間違いないと思っています。したがってビジネスの世界でも、日常生活の世界でも「意識」とは何かを知っておいて損はないでしょうね。
『フューチャー・オブ・マインド』からの名言
物理的・社会的な世界についての情報が与えられれば、ロボットにも、われわれと同じような(あるいは、一部の点ではわれわれを上回りさえした)シミュレーションができるかもしれない。しかしシリコンの意識は、ふたつの重要な領域において人間のものとは異なる。そのふたつとは、感情と目的だ。
今日の一言
意識を意識しているのは誰なのか?
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