サイモン・シン『代替医療解剖』


代替医療と呼ばれるような治療法は、果たして効果があるのでしょうか?その効き目は?通常医療と比べたらどうでしょうか?
こういった素朴な疑問を「臨床研究」という切り口で白黒をつけようとしたのがサイモン・シンのこの本です。サイモン・シンと言えばの『フェルマーの最終定理』(ちなみにAmazonのレビューは驚愕の4.8!)が有名ですが、同様に科学的な内容を面白く、わかりやすく説明してくれます。
さて、代替医療は効くか?という質問に対しては以前行われていた瀉血のように、なかなか廃れない根強い人気があるものの、プラセボ効果に過ぎないものがほとんどだという結論です。
では、なぜ必ず、「自分には効いた」という人がいるのでしょうか?3つの原理が働いていて、患者の思考停止を招いているためです。

  • 自然(ナチュラル)
    自然なものがよいとはかぎらず、自然でないから悪いともいえない。自然界には、ヒ素、コブラの毒、放射性元素、地震、エボラ・ウイルスなどが存在しているが、ワクチン、眼鏡、人工股関節などはすべて人間が作ったものである。
  • 伝統(トラディショナル)
    伝統的な治療法だから良いに決まっていると考えるのは間違いだろう。瀉血は何世紀ものあいだ伝統的な治療法だったが、その間一貫して、病気が治った人よりもはるかに多くの人たちに害をなした。
  • 全体論的(ホーリスティック)
    医師は患者の生活習慣、食習慣、年齢、家族の病歴、これまでどんな病気にかかったか、遺伝的要因やさまざまな検査結果を頭に入れて治療にあたる。むしろ通常医療のほうが、代替医療よりもホーリスティックなアプローチをとっているほどだ。
  • 『代替医療解剖』からの名言

    代替医療とは、本書のなかで論じたような意味での「治療」ではなく、患者とのあいだに作られた治療効果のある関係なのだろう。代替医療の施術者の多くは、患者とのあいだに非常に良い関係を築き上げており、それ以外には効果のない治療のプラセボ効果を最大限に高めるのに役立っている。

    気づいたこと
    プラセボ強し!!病は気から!
    今日の一言
    プラセボ効果の原因を研究している人に会いたい
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