『Who You Are』
私は何ものか?????????
何を読んだのか忘れてしまう人ですね。
ていうか、読んだそばから沁み込みすぎて、すっかり読み終わったことも忘れて放置してました。という、言い訳はさておいて、Ben Horowitzおじさんの言葉は重みがありますね~中身からすれば需要がなさそうな本ですが、色々と読まれているみたいです。実際にタメになるようなシチュエーションはほとんどないはずなのに、熱くリアリティのある厳しい話。
そんな厳しくてリアルなリーダーシップの本を要約するなんて無理ですが、敢えて自分なりに要約すると:
・文化を作ることがリーダーの役目
・文化とは、リーダーが見ていないときのメンバーの行動
・言葉も大事だが、リーダーの行動が一番伝わる
・強い文化を作りたいなら、ルーベンチュール、チンギス・ハン、武士道、のような偉大な文化と時代を作ったような事例から学ぶ
スタートアップが、奴隷解放のリーダーやモンゴル帝国のリーダーから何を学べるか?そこまでの長い道のりを想像できたりするのだろうか?そんなスケールで物事を見られるだけでも楽しい一冊ではあります。
『Who You Are』からの名言
あなたが下す決定は、ほかのどんなものよりあなたの企業文化に影響する。また同時に、その意思決定のプロセスも文化の核になる。
今日の一言
本質を追求し続けられるのは、よっぽど狂っているかよっぽど勝ち続けているかのどっちか。
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『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』
タイトルが長いと、中身の説明が要らなくなりますね。
で、なぜ3日でつくれたのか?という問いの答えですが、つまりはIT、というかソフトウェアの使い方が優れていたからという点が一番に主張されているように感じました。しかし、その前の段階で、フラグシップ・パイオニアリングが大胆な仮説を立て、モデルナを設立しているという背景はとても重要です。
道具は目的がなくては無益ですし、道具の発展もしません。ソフトウェアという道具をしっかり使いこなすための「目的」。そしてその目的に集まる「人」があってこそ成り立つイノベーションというものをモデルナは体現しているのではないかと感じました。
後半はモデルナというよりもGAFA企業のヘルスケア戦略について広範に述べられています。データやソフトウェア領域で進んでいる企業達にヘルスケアにおいても先を越されそうですが、単に道具であるデータやソフトを見ずに、目的から考えれば、色々な戦い方があると思います。
『モデルナはなぜ…』からの名言
フラグシップ・パイオニアリングはヘルスケアとライフサイエンスの分野を中心にプロジェクトを立ち上げ、2021年7月時点で100社以上の企業を設立、うち47社のイグジット(投資資金の回収)、またモデルナを含む24社のIPOに成功しています。
今日の一言
なぜ?という問いには実現した要因という意味と、動機という意味とがある。
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『時間は存在しない』
アインシュタインは、絶対的だと思われた時間を相対的なものだという見方を世界に紹介しました。私たちが当たり前のように感じている「時間」は、色々な形を取るということを。
この本が凄いのは、単に物理学的な観点で「時間」を捉えるのではなく、私たちが主観的にどのように時間を感じているのか考えている点です。まるで心の中にはっきりと存在している「感情」や「神」といったものかのように…感情が存在しない、神は存在しない、と断定されたら、どう思うでしょうか?それが1冊の本となり、色々な見地から追い詰められていったら…
時間の絶対性を信じている人ほどお勧めですし、その挑発的なタイトルが上手に読ませることを成し遂げています。
『時間は存在しない』からの名言
わたしたちは矛盾のない世界を見ているが、それは自分たちと宇宙との相互作用を基に推定したものであって、わたしたちの途方もなく愚かな脳にも処理できるように、過度に単純化した言葉でまとめられたものなのだ。
今日の一言
何かが「存在する」というのはどういう意味なのか?
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『宇宙・肉体・悪魔 ~理性的精神の敵について~』
この書評を書くのは大変。タイトルに惹かれてジャケ買い(リアル書店嬉しい)して読んでみると、これほどの大胆かつ厳密な未来予想は見たことがない、という感想が芽生えてきました。しかも、書かれたのが1929年という。そして宇宙への移住や身体拡張、AIの登場などを予言しているのです。予備知識なくこの本を読んだことが恥ずかしくなりながら、読み終わりました。
内容については、今となっては「普通」の未来予想かもしれません。つまりかなり当たっている、当たりそう、という印象しかないのです。人類は世界を征服しようと宇宙に繰り出し、身体の限界を超えるためにサイボーグ的外科手術を開発し、脳が外界と直結し、ネットワークを形成した知識網を作り出す、といった未来はまだ登場していませんが、部分的には発現している未来です。
この導いた未来の予想に辿り着いた思考の道筋が本当に参考になります。人類の歴史は「宇宙」「肉体」「悪魔」という3つの制約から解放されるように文明を発展させてきたという考え方は、本当に心理を突いているな~と。さらに「悪魔」という精神が、過剰な欲望や不満を生み出しているというのは省みるべきかな~と。
後から調べてみると、「史上もっとも偉大な科学予測の試み」(アーサー・C・クラーク)と呼ばれているこの本は、バナールが1929年、弱冠27歳のときに書いたと言います。多くのSF作家の参考になったというのも納得、私みたいにモグリにならないためにも読んだ方が良いと思いますよ。
『宇宙・肉体・悪魔』からの名言
未来というものには二つある。それは願望の未来(the future of desire)と宿命の未来 (the future of fate)だが、人間の理性は、いままでこの両者を分離することはできないできた。
人類は、進化して人類となって以来つねに、そして現在もまた、次の三種類のたたかいに取り組んできた。第一は自然界の巨大な非生物学的な諸力、暑さ寒さ、風、河、物質とエネルギーなどである。第二は、それよりもっと身近な動物と植物および人間自身の身体、その健康と疾病である。そして第三は、人間の願望と恐怖、想像力と愚かさである。
今も海中にとどまっている魚は、今までに海からはい出した魚より多いのである。
今日の一言
恐怖が動機を生む。
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『The Secret Lives of Customers: A Detective Story About Solving the Mystery of Customer Behavior』
ジョブ理論が有効なのはわかったけれど、どうやって使うのか分からない…
とあるカフェの成長、そして上場を目指す中で顧客を見失ってしまったところ、ジョブ理論の指導を受けるとどうなったのか?という物語です。ストーリー仕立てでわかりやすい流れでジョブ理論の実用例が紹介されています。
かなり具体的にどのようなインタビューをするべきなのか、ジョブスペックとは何か、発見したジョブをどのように活用するのかなどが小説内で語られていますので、イメージがピンと来ない方はぜひ。。
『The Secret Lives of Customers』からの名言
But insights from data are as good as the questions asked to generate it.
今日の一言
結局はどのような問いを立てるか、ということになる。
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2021年のイノベーション本ランキング
またもや大みそかのアップデートで凹みます。
まず3位
『プロダクト・レッド・グロース』は、SaaS企業の成長手法を書いているのですが、SaaSに限った話ではないと思います。本当に優れたプロダクトをつくり、価値を顧客に届けるという本質をとらえた良書でした。
2冊目はこちらです
スコット・アンソニー氏の本はイノベーションを様々なレイヤーでとらえていていつも気づきがあります。今回は行動変容と組織変革について。
ベストは今さらながら『学問のすすめ』ですね。
時代をいくつも超えてきただけのことはあります。今さらながらお勧めします。
ではまた来年!