『「論理的思考」の文化的基盤』
論理的ーーこれは、万国共通なものだと思ってました。
しかし、確かに外国人の論理とまではいかないまでも、他人の論理ってちょっと違うかも?って考えていたので、タイトル買い。そして、大満足。
論理の大事なポイントとして、原因と結果、つまり因果関係の捉え方がありますが、これは学校の歴史教育が大きな影響を及ぼしているとの仮説。そして、もちろんその仮説を支える根拠はたくさんあります。
米国の経済原理、フランスの政治原理、イランの法技術原理、日本の社会原理という4つの対極を比較して、うならせてくれました。
日本人が政治家を選ぶとき、「政策を」と言いながら、身近で共感度の高い人を選ぶ習性はこういうところなんでしょうね。これも一つの論理として勉強になります!
実は、こうした書評を書く行為は、小学校のときから繰り返し学んでいる「感想文」の延長にあるそうです。外国で教育を受けると、感想文は上手に書けないそう。自分も苦手だったけど。
『「論理的思考」の文化的基盤』からの名言
四つの原理ー経済、政治、法技術、社会-は、どの社会においても存在する領域である。しかし、どの領域が主流文化として選択されるかにより、当該国の教育の原理が決まる。教育原理の四類型(経済原理、政治原理、法技術原理、社会原理)には、それぞれに対応する固有の思考法と推論の方法とそれを体現する表現法がある。原理に固有の思考法はそれぞれ独自の論理性や納得性の基準を持ち、推論の方法は合理的行為の基準となる。そして各原理で価値ある知識の形態と能力/学力を規定する。以上が本書の仮説である。
今日の一言
論理も人間の創造。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『人間はどこまで家畜か』
犬や猫、その他の家畜はもともと野生の生き物でした。それが、進化するとともに人間に馴れ、危害を及ぼすことがなくなった代わりに、動物としての特徴は失っています。人間に育てられ、洋服を着たり、生存とは関係のない事柄ばかりで「生きて」います。
人間も同様に「家畜化」している。
人間も、「社会」や「世間」「ルール」という人間たちによって家畜化され、本来の“血潮”が流れなくなっているのではないかと、精神科医の熊代さんは書きます。こうした自らがつくり出した人工的な仕組みが、生きづらさをも持ち合わせているという点の危機感はまったくその通りだと思います。
単に人工的な環境に限らず、私たちのセロトニンや顔つきにも変化が及んでいるのは見逃せませんね。
本書は、こうした生理的な変化も含め、副題にあるような「現代人の精神構造」を紐解いてくれます。「最近の若者は…」という愚痴が繰り返されている理由がここに見て取れますね。
『人間はどこまで家畜か』からの名言
文化や環境が、この快適で安全で長寿で効率的な社会を成り立たせているのは確かです。ですがそれに伴って、私たちひとりひとりも他人を不快にさせるようにあるべきで、安全であるべきで、長寿であるべきで、効率的であるべきであると、社会のほうから要請されていないでしょうか。
今日の一言
昔先輩が、いつしか牙が抜かれていた、と言っていた。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『ベンチャーキャピタルの実務』
コンサルティングを超えて今一番謎な職業はベンチャーキャピタルかもしれません。
いったい、VCは何をどうしているのか?
どうやって儲けているのか?(給料良さそうだし)
そんな謎のVCが何をしているのかを一冊で。かなり丁寧に解説してくれています。
最後にはベンチャーキャピタル十二訓という職業倫理というか思いというか精神性が示されていて、テクニックだけでなく熱量もグッド。
『ベンチャーキャピタルの実務』からの名言
スタートアップにおける市場の捉え方や事業モデルは変化が激しいため、“チェックリスト”方式では質の高い投資の意思決定ができない。
今日の一言
存在意義を認識している会社は強い。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『世界「失敗」製品図鑑』
ほとんどの新商品は予定通りに売れないと言います。
でも、こういうことは学びの宝庫なのにもかかわらず、記憶から消え去られてしまいます。
しかし、大失敗したものについては、薄っすら覚えていたりしますね。その背景や理由を深掘りしてくれる勉強になる一冊でした。
『世界「失敗」製品図鑑』からの名言
私たちは結局のところ消費者のことなどわからないのです。その前提に立ち、いくらデータが正しいと示していても、上司がOKと言っても、「ひょっとしたら違うかもしれない」「世の中変わってきているのかもしれない」という健全な問いを挟むことが求められるのです。
今日の一言
失敗から学ぶ方が役に立つと思うな。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『電通マンぼろぼろ日記』
この本はノンフィクションというべきなのか、「元電通マン」を自称する人の妄想なのか。
昭和の話が大半とはいえ、平成令和もこの調子。さすが電通というべきなのか、電通許せないというべきなのか、答えが出ないまま一気に読めてしまう本です。
テレビや広告の裏側や、電通が築いたいびつな業界構造を少しでも知っていると、納得できるかもしれませんが、何気なく手に取ると胸糞悪いかもしれません。まあ、事実を50%以上含んでいるとしたら電通はなくなった方がいいですね。反面教師、エンタメ、ブラックユーモアとしては一気に読めちゃいます。
『電通マンぼろぼろ日記』からの名言
一般にも知られた電通の心得に「鬼十則」がある。
今日の一言
我々は何のために働いているのだろう。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『頭のいい人が話す前に考えていること』
「頭がいい」というのは生まれつきではないんですよね。
頭を良くしたい、と思うことはないかもしれないけれど、頭良く見られたいとか、スマートに暮らしたいとか、誰しも頭悪くはなりたくないし、頭悪く見られたくはないですよね?
自虐的に頭悪いフリ、はあるかもしれないけど、それも頭の良さなのかもしれません。
この本を書いた人は間違いなく頭が良くて、頭が良いことが伝わってくる整理された一冊です。
黄金の7法則というのは、
1.とにかく反応するな
2.頭のよさは、他人が決める
3.人はちゃんと考えてくれてる人を信頼する
4.人と闘うな、課題と闘え
5.伝わらないのは、話し方ではなく、考えが足りないせい
6.知識はだれかのために使って初めて知性となる
7.承認欲求を満たす側に回れ
頭が良いかどうかはおいておいて、成功する法則であることは間違いなさそうです。
『頭のいい人が話す前に考えていること』からの名言
これまで数々の新人を見てきましたが教わるのがうまい人は、聞きやすい人や身近な人ではなく、“聞くべき人”を考えてから聞きにいき、さっさと課題を解決し、成長します。
最後にお伝えしたいのは、頭のいい人になることよりも、頭のいい人であり続けることの方が難しい、ということです。
今日の一言
本質は同じ。コストは自分が決めるけど価値は相手が決める。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |