『宇宙・肉体・悪魔 ~理性的精神の敵について~』

この書評を書くのは大変。タイトルに惹かれてジャケ買い(リアル書店嬉しい)して読んでみると、これほどの大胆かつ厳密な未来予想は見たことがない、という感想が芽生えてきました。しかも、書かれたのが1929年という。そして宇宙への移住や身体拡張、AIの登場などを予言しているのです。予備知識なくこの本を読んだことが恥ずかしくなりながら、読み終わりました。

内容については、今となっては「普通」の未来予想かもしれません。つまりかなり当たっている、当たりそう、という印象しかないのです。人類は世界を征服しようと宇宙に繰り出し、身体の限界を超えるためにサイボーグ的外科手術を開発し、脳が外界と直結し、ネットワークを形成した知識網を作り出す、といった未来はまだ登場していませんが、部分的には発現している未来です。

この導いた未来の予想に辿り着いた思考の道筋が本当に参考になります。人類の歴史は「宇宙」「肉体」「悪魔」という3つの制約から解放されるように文明を発展させてきたという考え方は、本当に心理を突いているな~と。さらに「悪魔」という精神が、過剰な欲望や不満を生み出しているというのは省みるべきかな~と。

後から調べてみると、「史上もっとも偉大な科学予測の試み」(アーサー・C・クラーク)と呼ばれているこの本は、バナールが1929年、弱冠27歳のときに書いたと言います。多くのSF作家の参考になったというのも納得、私みたいにモグリにならないためにも読んだ方が良いと思いますよ。

『宇宙・肉体・悪魔』からの名言

未来というものには二つある。それは願望の未来(the future of desire)と宿命の未来 (the future of fate)だが、人間の理性は、いままでこの両者を分離することはできないできた。

人類は、進化して人類となって以来つねに、そして現在もまた、次の三種類のたたかいに取り組んできた。第一は自然界の巨大な非生物学的な諸力、暑さ寒さ、風、河、物質とエネルギーなどである。第二は、それよりもっと身近な動物と植物および人間自身の身体、その健康と疾病である。そして第三は、人間の願望と恐怖、想像力と愚かさである。

今も海中にとどまっている魚は、今までに海からはい出した魚より多いのである。

今日の一言

恐怖が動機を生む。

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