2021年のイノベーション本ランキング
またもや大みそかのアップデートで凹みます。
まず3位
『プロダクト・レッド・グロース』は、SaaS企業の成長手法を書いているのですが、SaaSに限った話ではないと思います。本当に優れたプロダクトをつくり、価値を顧客に届けるという本質をとらえた良書でした。
2冊目はこちらです
スコット・アンソニー氏の本はイノベーションを様々なレイヤーでとらえていていつも気づきがあります。今回は行動変容と組織変革について。
ベストは今さらながら『学問のすすめ』ですね。
時代をいくつも超えてきただけのことはあります。今さらながらお勧めします。
ではまた来年!
『プロダクト・レッド・グロース』
いわゆるバイブル的ノウハウ本ですね。
SaaSビジネスをやるならマストだし、SaaSでなくとも事業成長のヒントは満載。理屈抜きにアイデア満載ですので、とりあえず書いてあることは全部やってみても損はないと思います。
内容は本書に任せるとして、ソフトウェアのプロダクトがあるならソフトウェアのセールスがあってもいいのではないか?と考えるのは至極自然なことで、それが戦略の中心にあるのも当たり前かもしれません。さらに、そのセールス用のITがプロダクトと融合していたりすると、一枚岩。解決すべき顧客課題を外さなければ、こういう考え方は必要ですね。
読み終わったらたくさんの付箋がついていましたが、どれも実践したいことばかりです。
『プロダクト・レッド・グロース』からの名言
一般的に、ユーザーはプロダクトを徐々に使わなくなるものだ。毎朝使っていたものが月1回へと減り、あるときもうまったく使っていないことに気がつく。この時点でユーザーは「チャーン」する。実際は、その何カ月も前に決断が下されていたにもかかわらず、である。
今日の一言
価値を伝えるスピードが加速する
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『変える技術、考える技術』
経営コンサルというのは、特殊能力だろうか?
私は常に、どんなことも訓練すれば出来るようになるし、上達すると思っています。
経営コンサルタントはどうでしょう?何か特別な知識や能力を持っているような気になりますが、この本を読むと結局は以下の二つに尽きるという点になるのではないかと思いました。
- 問題について考え抜く力
- 言い訳なく、やり抜く力
さらに、著者の「元BCG」が言いたいことは、人間味があると売れるよ、ってことかもしれません。元BCGというのがブランドになるなら、人間味とは正反対ではありますが、だからこその人間味なのかもしれません。
この本は、前半の苦痛を通り抜けると面白くなりますよ。
『変える技術、考える技術』からの名言
愛と想像力
今日の一言
優れたコンサルより売れるコンサル。これは本質なのか。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『知の体力』とは何か?
いわゆる随筆というのはなぜ書かれるのだろうか?
誰が読むのだろうか?
こういう本は、恩師や先輩が勧めるものかもしれないけれど、私の場合はジャケ買いで偶然でした。前提知識なしに「知の体力」といったタイトルから読み進めていくと、字面からだけではなく、文章を書いた永田さんという方への興味からも脳が刺激されるという経験をしました。
細胞学者として研究の先端から得た「知識」に関する気づきやら、海外で生活しながら研究することから得られた「文化」についての考えやら、歌人として文学作品を作りながら感じた「創造」への思いが、一件ランダムに綴られています。しかしランダムでありながら、それは和歌のリズムを持っているのかわかりませんが、何とも説明できないけれど沁みてくるんです。
気が付いたらたくさんの付箋がついていました。
『知の体力』からの名言
運動をするにはそれなりの基礎体力をつけなければならないのと同様に、これから何が起こるかわからない想定外の問題について自分なりに対処するためには、それなりの体力が要求される。私はそれを「知の体力」と呼んでいる。
今日の一言
知力と呼ばずに「知の体力」と呼ぶところがいいのかも
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『WHAT IS LIFE? 生命とは何か?』
人生の目的は何だろう? ―この問いは多分、誰もが一度は持ったことのある疑問ではないかと思うのです。
私たちはどこから来たのか? ―この問いも、どこかで持つことがあるとは思います。
この2つの問いに近いけれど、意外に抱いたことのない問いが「生命とは何か?」というものではないでしょうか?
少なくとも、私は本屋でこのタイトルを持つまで疑問もなく過ごしてきました。確かに最近ではAIやロボットといった命を持たないけれど、自律的で「認知」に近い能力を持つものが誕生しているし、ウィルスが身近となり、生命と物体の中間の素性をもつ病原体は「生命」と呼べるのだろうかという疑問は持たなかったわけではありません。
しかしこの本を読むと、生命は単に「生きている」と私たちが感じる刹那的な印象をはるかに超越して、地球に生命が誕生して以来、化学的、物理的、情報的に一つの歴史を刻んできたことがわかります。
DNAという化学物質は、情報を蓄えることに便利なだけでなく、進化の基本となる複製や複製ミスが適度に発生します。これにより、私たち人間も元はウィルスや単細胞動物から進化し高度な(とは必ずしも言えない行動を取るけれど)知性を備えるまでになりました。その神秘と必然についてノーベル賞を受賞したポール・ナース氏が解説しているのがこの本です。
「生命とは何か?」という質問の答えだけ知りたいなら、ナース氏によると、生命とは以下の3つの原理が備わっているものだそうです。
1.自然淘汰を通じて進化する能力
2.「境界」を持つ物理的な存在
3.生き物は科学的、物理的、情報的な機械である
しかし、この本は答えを知るために読むものではないな、と感じました。大昔に同じくノーベル賞受賞した朝永振一郎の本を読んだときのような科学への愛、科学を通して心理を追求する求道者の愛を感じました。さらに、生命の神秘を再確認することができる一冊です。
『WHAT IS LIFE? 生命とは何か?』からの名言われわれは、みな、生存競争を生き抜いた偉大な同志だ。細胞分裂という途切れのない鎖を遡り、最古の果てへと繋がる、計り知れないほど広大な、たった一つの家系の子孫たちなのだ。今日の一言 人類みな兄弟。生き物みんな同時発生。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |
『極めるひとほどあきっぽい』
日本では、大学受験で医学部を受け、受かったら残りの一生は医師となることがデフォルトらしいです。18歳で60歳位までの40年以上を決めないといけないことになります。
これが幸せな選択となることもありますが、不幸な呪縛となることもあるでしょう。著者の窪田さんは一切こうした縛りを持たずに、研究と医師と起業家という3つの役割を上手にスイッチしています。
本人は「飽きた」という言い方をしますが、本書を読むと「縁」がつながっているように感じます。なぜなら、一つの仕事を極めるまでやっているからです。研究者として病気の原因遺伝子を見つけたり、ベンチャー起業家としてはIPOを実現したりと、「飽きた」とは言えないのではないでしょうか。むしろ、極めたから次に。という連鎖なのではないかと思うのです。
『極めるひとほどあきっぽい』からの名言正しい戦略は1つではない。自分を信じて、第一歩を踏みだそう。今日の一言 飽きるほどやる。飽きたら変える。でうまくいきそう。
テクニック | |
---|---|
マインド | |
革新度 | |